自然と人間の共生した社会実現に寄与すべく、八ヶ岳南麓であれこれ考え実験した記録をつづります

究極の選択?ビルゲイツの財産と自然の恵みである酸素。あなたはどちらを選びますか?

ある経済学者が講演で
何千という聴衆に対して
こんな質問をしました。

ビルゲイツの財産(約500億ドル)と
自然の恵みである酸素。
どちらか一方だけを選ぶとしたら、
どちらが欲しいか?」

このブログで2回ほど紹介した、
この本に載っていた質問です。


経済成長って、本当に必要なの?
経済成長って、本当に必要なの? [単行本]


ビルゲイツの財産とは、
言い換えるとGDPに影響を与えるもので、
自然の恵みのひとつである酸素は、
市場価値はゼロでGDPにも貢献しません。


※個人と国家の幸福を測る指標とは何か?
「経済成長って、本当に必要なの?」を読み始めた


 ※経済の目標とその指標を見直す時か?
「経済成長って、本当に必要なの?」覚え書き
    
 
 
過去二つの記事で、
現在最も重要視されているGDPという
経済指標で測れるものと測れないものとを
提示しながら、その問題点を指摘しました。

今回は、GDPでは測れないもののなかで、
最も重要だと思われる自然について、
書いてみようと思います。 


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自然の供給物の経済価値はゼロ
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地価を考えると、
分かりやすいですが、
一般的に人間にとっての利便性が
高くなればなるほど、
地価も高騰します。

逆にいうと、
交通の便が悪く、
買い物をする場所や
仕事も無い山奥の土地は
都心に比べると驚くほど
安い値段がつけられています。

例えその土地に豊かな森林があって
水の浄化などに貢献していたとしても
参考記事;森林が持つ働きをまとめてみる

現在の経済指標では
測ることができない構造になっています。

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現在の経済は資源が無限にあることが前提
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経済学では、
個人の利益追求が結果的に社会全体の
利益につながる、
という基本的な前提があります。

さらに、自然と経済の関係について、
本書では以下のように指摘しています。
 
20世紀経済学の「経済の宇宙観」は、
経済をとてつもなく大きなものと捉え、
いくら拡大しても物理的な限界はなく、
それ以外のすべてのものを包含すると
考えられていた。

環境は、経済に含まれる小区分で、
資源を提供するものとしてしか
見られていなかった。


図で示すと以下のような関係です。


画像2

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自然が提供するさまざまな恵み 
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けれど、ちょっと立ち止まって考えると、
自然は、市場価値では測れない重要なものを
実にたくさん供給しています。

・酸素
・水
・土地
・食材
・材木
・鉱物
・エネルギー
などのものの供給に加え、

・気候の安定
・廃棄物の分解
・大気や水の浄化
・水害の防止

などのサービスを提供しています。

さらに、
教育的、精神的、文化的、
レクリエーション的、美的な
恩恵もあり、こららも
経済や人々の生活の質にも
貢献しています。

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自然と人間の本来の関係に基づいた経済を 
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マクロ経済学が生み出された
1930年代当時の経済規模であれば、
さほど物理的な資源が無限という前提でも
さしたる問題にはなりませんでした。

しかし、その後驚くほどのスピードで
増大した経済活動は、地球の許容量を
凌ぐ規模になってしまいました。

地球上すべての人間が
アメリカ人と同じ生活をするためには
地球が4つないし5つ必要だと言われています。

日本人の生活レベルでも
1つでは全然間に合いません。

私たちはあまりにも長いこと、
「環境は経済の一部で
資源を提供するもの」
という認識しかしてこなかった。

「経済は環境の従属的位置にある」
という視点に
切り替えなければならない。
 

画像1
 
本書では、経済活動は
自然との本来の関係に立ったものに
改めない限り、私たちの未来はない、
と主張しています。

そして、そのための技術も手段もあり、
後は行動するだけと。

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冒頭の質問で
財産と答えた人は、
5分間、息を止めてみてください。

財産と答えた2人に聴衆に対して、
実際に講演を行った学者が
そのように求めたそうです。