自然と人間の共生した社会実現に寄与すべく、八ヶ岳南麓であれこれ考え実験した記録をつづります

経済の目標とその指標を見直す時か?「経済成長って、本当に必要なの?」覚え書き

私たちの人生の中で
目指すべき目標や、
その達成を図る指標は
その時々で変わっていく
ものだと思います。

が、これが組織の話になると
目標や指標の変化が難しかったりします。

さらに広げて
国家レベルの話になると
これらの転換はもはや
一筋縄ではいきません。

けれど、今
それを急いで見直さなければ
いけない時に来ている。

今日はそういう話です。


0618-4


過日、このブログで
この本を紹介しました。

経済成長って、本当に必要なの?
経済成長って、本当に必要なの? [単行本]

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GDPという経済指標の限界
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そこで主張されていることの
一つが、GDPという経済指標の
限界でした。


例えばGDPでは
次のような事柄は、
数値の上昇に貢献しません。

・運動
・家事や育児
・ボランティア活動
・人との関わり
・持続可能な活動
・自然が与えてくれる経済的な物質


その一方で、次のような事柄は、
GDPの上昇に貢献してしまいます。

・事件や事故、犯罪の増加
・病気や怪我
・家庭崩壊
・借金
・環境汚染、自然災害 

GDPは、
1年間に国内で生産された最終財と
サービスの市場価値の総和
と定義されています。

早い話が人々がお金を使わないと
GDPは上昇しないのです。

だから
毎朝のランニングで健康を
維持することよりも
タバコを1日に何本も吸って
病気を患い医者にかかること
の方がGDPには貢献していまうのです。

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新たな指標はなぜ生まれたのか
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そもそも、国レベルの経済指標が
誕生したのは1930年代でした。

それまでの経済学では、
個人、会社、市場を対象とした
ミクロ経済に関する理論しか
ありませんでした。

しかし1929年に始まった
世界大恐慌に伴い、
国全体の経済を図る必要が
生じたことから、
マクロ経済学が生み出されました。
それとともに、
国の経済成長を図る指標である、
GNPが考え出されました。

のちに各国間輸出入の増加に伴い、
GNPからGDPに改められていきました。

現在、多くの国々で打ち出される
経済政策の多くは、このGDPの増大を
目的にしたものがほとんどです。

本書では次のように指摘しています。

問題は、マクロ経済学
無制限の成長を究極の目標と
していることであり、
経済成長の主たる指標が
GDPだということなのだ。

この目標も指標も
どちらも間違っている。

GDPの上昇を目指して
生産高の増加に躍起に
なることは1930年代には
正しい目標だったとしても
現在では経済の向上にも、
国民を幸福にすることにも
繋がらない。


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指標を用いるということは
必ずその背景には目標があるわけです。

良い指標とは、
目標に近づいているかどうかを
適切に示すものです。

が、その大前提として
目標そのものが目指すに値するか
という検証が必要です。

本書ではこのような問いを投げかけています。

今、この質問を改めて
考えるべき時だろう。
「そもそも経済とは何のためにあるのか」
「私たちは経済に何を期待しているのか」


みなさんでしたら
どう答えますか?