自然と人間の共生した社会実現に寄与すべく、八ヶ岳南麓であれこれ考え実験した記録をつづります

こういうことを教えて欲しかった!数学に関する「ヘー!」な小話(4)

昨日の職場でのミーティングにて。

「教育とは学びたいと思う
   心を育むことが大切」
メンバーから出たこんな一言で
思い出した一冊があります。
 

「天才たちが愛した美しい数式」
という本です。

天才たちが愛した美しい数式
天才たちが愛した美しい数式 [単行本]

 

中学校や高校で習う
数学の定理や物理学上の法則が、
どのような社会的背景の中で、
どのような思いで発見、
導き出されたかという
エピソードが紹介されている本です。
 

数学の授業ではなかなか
語られることのない内容だけに、
とても興味深く読みました。
 

その中で私がもっとも感動したのが
対数(log)誕生のエピソードです。
 

対数とは、簡単に言うと、
かけ算を足し算に、割り算を引き算に
置き換えて計算できる仕組みです。

なぜこの対数が生み出されたのかというと、
天文学の発展と深い関係があります。

16世紀当時の天文学者たちは、
星の位置などの計測のために、
何十桁もある数字の計算を
延々と繰り返す必要がありました。

そのような状況を見た、
スコットランドのジョン・ネイピアという
アマチュアの数学者が、
桁数の多い煩雑なかけ算を、
簡単な足し算に置き換えることの
できる概念である対数(log)を
発明します。

しかし、その実用化には
血のにじむような計算の日々があり、
ネイピアの晩年の約20年は、
対数を実用化するための表の
作成に費やされました。

そのおかげで、天文学の発展に
大きく貢献するとともに
後の科学者たちから
対数天文学者の寿命を 2 倍にした」
と賞賛されたそうです。

さらに、星の位置から
現在地や進むべき方向を計算していた
当時の船乗りたちにとっても、
この計算方法は飛躍的に
精度を高めることとなり、
大航海時代の長距離の航海の
安全にも大きく寄与したと
いわれています。

当時の私は、
なんでこんな不可解なものを
勉強しなければならないのか…
と思いながら授業を受けていましたが、
改めてこのようなエピソードを聞くと、
とてもすばらしい概念
なんだと思えます。

世の数学の先生方には
せひとも、定理や公式だけでなく
「なぜこの式が生まれたのか」
という当時の社会や式を導き出した人の
エピソードなども、ぜひ生徒たちに
伝えていただきたいですね。

 それが「学びたいと思う心」を
育むことにつながるのでは
ないでしょうか。