自然と人間の共生した社会実現に寄与すべく、八ヶ岳南麓であれこれ考え実験した記録をつづります

本棚の前で〜時間を超えた親子の会話を夢見る

結婚を機に現在の住まいへ
転居して一年半が経ちました。

引っ越す前に、
「どうしてももっていく本」だけに
絞って持ってきたのですが、
読書好きで気に入った本を
購入してしまう性分のため、
転居後にかなり増えてしまいました。

大きな本棚をひとつ買い足して
なんとか凌いでいます。 

時々その本棚の前で、
本の背表紙を眺めていると
買った時のことや
読んでいて心に残った一説が
思い出されてきます。 

学生時代に
将来を決め兼ねていた時に読んで
勇気をもらえた本。

結婚前に、当時交際中だった
奥さんに貸して感動を分かち合った本。

などなど。

なかでも、特別に
思い入れのある一冊があります。

デール・カーネギー
『道は開ける』という本です。

道は開ける 新装版
道は開ける 新装版 [単行本]

大学を中退して間もない頃に
自宅近くの本屋さんで見つけた
本です。

人生を切り開くための
素晴らしい言葉であふれていたその本を、
感動しながら読んだと記憶しています。 

そして読み終えて数日後、
何気なく実家の本棚を眺めていたら
茶色に変色して古ぼけた表紙の
『道は開ける』を不意に発見しました。

驚いて母に聞いてみると、
私の父が若い頃に買ったものだ
とのことでした。

父は、私が中学1年の時に他界しました。

時間を超えて自分の父親と
同じ本を読んでいたことがわかったときに、
不思議なぬくもりに包まれたことを
今でもはっきりと覚えています。

あれから10年以上が過ぎ、
現在では私が父親になりました。

何十年か先、
今私が眺めている本棚のどれか一冊を、
自分の息子も手にする日がくるのだろうか。

まだ6ヶ月になったばかりの
彼の寝顔を見ながら
そんなことを思いました。
 
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