自然と人間の共生した社会実現に寄与すべく、八ヶ岳南麓であれこれ考え実験した記録をつづります

緑が眩しい季節を前に、人間にとって自然とは何か考えてみる

風光る四月。

東京では桜も散り始め、
緑が綺麗な時期を迎えます。
 
人間にとって、自然とはどういう存在か。
もっと端的に表現すれば、
人間にとって森とはどんな存在か。

こんな疑問に対して
ストレートな答えを教えてくれる
本があります。
著者の稲本正さんは、
立教大学を経て原子物理学の
研究職に進みました。

しかし将来性が見えないことから、
その道を諦め、
現在は植林活動や環境保護活動
をしている方です。

その稲本さんが、
東日本大震災後の日本が
どのような方向に復興を進めるべきか
考えをまとめた一冊です。

冒頭、3つの観点から
森なくして人間は生きられないと
主張しています。

1、酸素
 
一人の人間の呼吸を賄うために、
およそ15本の樹木が必要です。

さらに先進各国は
地下資源文明であるため、
日常生活の様々な場面でも
大量の二酸化炭素が排出されます。

日本の場合、
一人当たり実に376本の樹木が
必要となります。

2、きれいな水
 
地球上の水の97.5%は海水です。

残りの2.5%のうちの9割は
氷雪や地下水など人間の手が
届かない場所にあります。

残ったわずか0.25%のうちの
大半が汚い水です。

つまり、人間が飲むことのできる
きれいな水は地球上に
0.1%以下しかない。

そのきれいな水を
作っているのが森です。

3、食糧

豊かな土壌を作るうえで、
森から流れてくるきれいな水や、
葉っぱからできる堆肥は
欠かすことができません。

遠回りなようでも
森を良く手入れすることで、
健康的な農作物ができます。


さらに読み進めていくと、
長年森と共に生きてきた
著者のならではの言葉が。



原生林に行くと、
人間は必ず悟ることができると思う。
 
ひとりでポツンと原生の森の奥に居ると、
人間は結局、生かされているのだと解る。
 
森がきれいな水を作ってくれ、
きれいな空気を作ってくれ、
そしてこういう原生の森が
生命の源になるのだ、とおのずから
わかってくる。


より多くの物を持つことで
豊かな暮らしを送れると信じて
発展してきた現代の文明。

しかし、本当の幸せは、
このようなことに
気づくことから
得られるのかもしれません。